「おごる」という現象とジェンダー
大学生の意識調査を手がかりにして
800130 本田 暁子
指導教官:葉柳 和則助教授
「おごる」「おごられる」という行為を経験したとき、自分がなぜその行為をしたのか、なぜその行為を受けいれたのか、不思議に思ったことはないだろうか。私の違和感は、「男性は女性におごる」という構図に対して強く現れた。本稿の目的は、「おごる」という現象を「ジェンダー」という概念を使用することによって、そのメカニズムを明らかにすることである。
分析対象として、大学生を対象に行ったアンケート調査・インタビュー調査で得られたデータを取り上げる。これらが、意識の上で、また行動において、「おごる」という行為をどのようにとらえているかをあらわしていると考える。
第一章では、本稿におけるジェンダー概念の位置づけを明確にする。さまざまなジェンダー概念と、ジェンダー研究者による「おごる」という行為の位置づけの分析によって、「1社会規範としてのジェンダー」、「2ジェンダー化された男女に異なる社会的行為を可能にする力を見出す視点」という二つの分析枠組みを見出すことができた。
第二章では、1.の視点に基づきアンケート調査結果を分析している。そこからは大学生に、「男性が女性におごる」という社会通念が受容されていることがあきらかになった。しかし、実際どのような状況で「おごる」という現象が起こっているのかまではわからなかった。
そこで第三章では、二章をふまえた上で、「おごる」という行為、「おごられる」という行為にまつわる発言を分析している。年齢や社会的立場、収入という指標によって分けられた「上-下」の関係をもつ集団においても、「おごる」「おごられる」という行為が行われていることと比較することによって、「男-女」という関係において働く「権力」の作用を見出している。
このようにして、「男性が女性におごる」という現象がおこっていることの理由を一面からではあるがあきらかにできたと考える。
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