志氣・要約
インターネット空間における公共性の誕生
ネットゲームに見られる可能性を手掛かりにして
899204 志氣 智史
指導教官:葉柳 和則助教授
本論文の目的はインターネット空間のイメージがメディアによって喧伝されるそれと異なるという現象を通して、インターネットの持つ魅力とはどのようなものなのかという問いを解き明かすことである。第一章は「インターネットとは」と題してインターネットの性質について論じている。インターネットには既存のメディアにはない優れた性質「即時性」「双方向性」「対多性」や、インターネット固有の「匿名性」がある。しかし、そうした優れた特性を活かしている個人のホームページよりも、それを活かしきっていないマスメディアや企業のホームページが利用者数という点で優れている現状がある。
第二章では、こうした現状を踏まえた上で個人のホームページの構造について考察を行った。インターネット空間には「相互扶助」という行動規範が存在する。個人のホームページはこうした「助け合いの精神」とも言える価値観によって生まれ運営されている。それに対してマスメディアや企業のホームページを開設、運営させる価値観は「資本」である。そうした価値観のずれが個人のホームページの利用者が少なかった理由なのである。ここで個人のホームページをサイバーコミュニティと定義し、なぜ、サイバーコミュニティが多数の利用者を獲得することができなかったのかを「コミュニティの限界」として説明し、そうしたホームページ郡をギリシャの都市国家に例えた。しかし、生活世界における都市国家ではコミュニティがコミュニティの枠を超えて進化していくストーリーが存在する。インターネット空間における、そうしたストーリーを求めて次章へと展開する。
第三章では、日本で唯一企業やマスメディアに匹敵する利用者を誇る「2ちゃんねる」をとりあげ、「2ちゃんねる」がコミュニティの枠を超えることを可能にした「並列に情報を扱えるシステム」と「完全な匿名性」について、W杯日本対ベルギー戦のマスメディア報道と「2ちゃんねる」における試合結果に対する書き込みを比較しながら考察した。
最後に第四章では、インターネット空間に誕生しつつある社会について考察する。生活世界の個人の誕生を捉えた上で、インターネット空間における個人の誕生が生活世界のそれとどのような共通点がありどのように違うのかということを時系列的に見ていき、全体の論の展開と関連付けて考察を行った。結果、企業やマスメディアとは違うインターネットの価値観がインターネット新しい社会を形成しつつあるという結論を得た。
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